対象日 | 土日祝祭日及びゴルフ場指定日 |
---|---|
対象者 | 会員並びゲスト |
発生日 | 5日前より申し受けます(プレー日含む) |
金額 | 2,200円(お一人様につき) |
ありがとうございました。
コース管理/グリーンキーパー 大庭 正栄
2003年9月20日
基本的に芝の上からティアップするのが最良であると思います。
今夏の気象は最悪の状況でした。8月までの冷夏 降雨は10年前と非常に似た条件でしたが、9月に入り戻り夏が続き、毎日32度C以上の乾燥に見舞われ現在も続いています。
ご指摘のように洋芝のティグラウンドは30%以下の密度の状況であり、褒められたものではありませんでした。 なぜ後のレギュラー(コーライ)ティを使わせないのかお怒りはごもっともと思います。
やはり言い訳にしかなりませんが、気象条件によるジレンマがあったことは確かです。
春よりコーライティの萌芽不良 裸地化部分(踏害や特に冬期の降雪、凍害)の補修 更新作業を徹底して夏場にあわせるようしましたが、梅雨からの降雨、曇天が続き湿度の多い毎日でした。追い討ちをかけたのが病気の発生です。葉枯れ病、俗に言う「犬の足跡」です。
8月の台風、以降の集中豪雨で400mm以上、湿度70%以上が毎日の状況でした。
結果、8月下旬までコーライグリーン、ティグラウンド、フェアウエイ、カラーに、次々と発生しました。また、フェアウエイや法面からの湧水も多く、同時に乗用カートの走行で一時期みすぼらしい状況にもなりました。
現在もコーライグリーンに黒く点々とあるものがそうです。暖地型(コーライ芝、野芝、バミューダ(ティフトン芝)など)芝生の中で特にコーライ芝に発生します。しかも「犬の足跡」は雨滴伝染が主であり、今夏の状況は病気発生に対し最高の条件がそろった年であったと思います。コーライグリーンの使用が遅れたのも同様です。このまま使用開始すると、晩秋から来春にかけて芝のダメージが相当なものと予測したためもあります。
ようやく使用開始いたしましたが、現在、暑い日が毎日続いています。散水に追われています。夜間の散水を含め、朝5時からティグラウンド(コーライティ)他を実施しています。例年の夏の時期は過ぎたため、池の水は使う段階ではありませんが、過潅水(水分過多による根腐れと病気の発生)に注意しています。今後早い秋が訪れると予想されます。シーズンに楽しくプレーしていただけるよう、少ない時間の中で回復を図りたいと思います。
以下にご質問の言い訳になってしまうかもしれませんが、掲載しますがその前に芝の生理を少し説明します。芝の種類は大別すると暖地型(C4植物)-コーライ芝、野芝、バミューダ(ティフトン芝)などと寒地型(C3植物)-ベントグラス、ライグラス、ブルーグラス、フェスクなどになり、植物は光合成と呼吸をしていますが、C4とC3植物はカルビン回路の作用に左右されます。暖地型は冬に休眠(枯れる)しますが、寒地型は25度Cまでが最適温度で、それ以上になると無駄な呼吸をしてしまうため疲れ(へたり、生育不良 最悪枯死)が出てきてしまいます。
その他の分類として
株立ち型(コロニアル系) ライグラスなど
匍匐方(クリーピング系) ランナーで繁殖する(ほとんどの芝)があり匍匐型と呼ばれるものはランナーが伸びて回復が早いのが特徴です。ですから、グリーンのベントはボールマークが治癒(正確には、栄養繁殖 回復の意))するのです。
1)多数の来場者を芝の上からティアップ可能とするためコーライグリーンの改造後、ティグラウンドの面積を出来るだけ拡大しました。しかも、フロントティは洋芝(ライグラス)レギュラー、バックティ(コーライ芝)とし極力コーライ芝の張替えをなくし緑の上を保持する目的で2種類の芝を選択しました。ご承知のように毎年夏は洋芝ティが枯れます。ベースの芝はありませんから、秋口に再度播種し育てています。生育の早いライグラスだから出来る事です。コーライを張り替えても面積が足りないため、どうしても同じ箇所が裸地化してしまいます。尚、設計上の基本はグリーンと同程度の面積を必要としますが、当コースの場合無理があったのでしょう。
ティの上で思い切りスイングするわけで、グリーンよりダメージはあるかもしれません。
今夏は、特に病気の発生、気候の不順等重なり使用ティのローテーションがうまくいかなかったためご迷惑をお掛けいたしました。
今回、ご承知のように、14番右グリーンのカラー(左側)と17番右グリーンのカラー(後方)が毎回裸地化するため春先にブルーグラスを張りました。また、1番ティの右側は同じくブルーグラスです。比較的夏場に強く、冬の凍上にも強い事がわかり、来春13番レギュラー、17番フロント、18番レギュラーティに採用する予定でいます。ライグラスでは、やはり消耗品としての考え方しか出来ませんが、日陰や凍上するティの改善を今後の課題としていきたいと思います。
また、限られた面積で改造による距離の延長は現時点では無理があり、使用ティのローテーションで対処したいと思っています。
2) そしていつでも同じティグラウンドだと言われないよう来場者の皆様に喜ばれるよう少しでも変えていきたいと思います。現在、コーライのレギュラーティを使用していますが、播種養生後11月をめどに洋芝ティを使います。来春ブルーグラスの部分的張替え等実施、ローテーションをしながらいきたいと思います。
3) ベントコーライの2面のグリーンはやはり他ゴルフ場と同じくローテーションが必要と痛感しています。どうしてもベントというニーズが皆様にあり、春より夏過ぎまで酷使してしまっているようです。
冬場は1日おきのローテーションをしていますが、6月頃にベントを休ませる事が必要かもしれません。それには、タッチの違うコーライを今以上に仕上げることが大切です。皆様に納得されなければなりません。来年は目標として作業効率を高め、ご期待に添えるよう頑張ります。宜しくお願い致します。
尚、現在のベントは4番、5番、17番右が乾燥とドライスポットで見苦しい状況です。エアレーション(穴をあける)が終わり目土に入る段階ですが、熱さのため状況待ちです。早期回復を図り間に合わせるようしたいと思っています。
また、例年夏場の害虫発生が気象変動のためか、現在発生しています。スジキリヨトウムシとシバオサゾウムシです。夕方から夜間にかけて活動します。芝の根の食害や茎に穴をあけ産卵するため芝が枯れてしまいます。状況を見極め散布していますが、乾燥により散布車が入れない(タイヤ跡が枯れる)ため困っています。雨が少しでも欲しい状況下です。
こうしている内に、台風15号が北上してきました。吉と出るよう自然と喧嘩しないよう頑張ります。
最後に今回、皆様に大変なおしかりを受けました。
常に70%以上の状態を保ったメンテナンスでなければならないと思います。
今後とも皆様に喜ばれるコースづくりに励みますので宜しくお願い致します。
ご来場お待ち申し上げます。
コース管理
グリーンキーパー 大庭 正栄
特にスポーツターフと呼ばれるゴルフ場や、サッカー場の芝はプレーヤーの踏圧やクラブによるダメージを極端に受けるために、生育しているようなものです。常にその外圧から負けないために、成長しなければなりません。ところが、野菜等の作物は作付け前に耕して、堆肥や肥料を土の中に混ぜてやります。芝はよく考えると、全く逆です。当ゴルフ場は改造した場所は別として、20年以上経過したことは、20年前の芝で、芝の上から肥料や堆肥をあげています。しかも、プレーヤーの踏圧やクラブによるダメージを常に受けています。極端にダメージを受けたら裸地化して張り替えなければなりません。毎年強い芝を造らなければなりません。春の芽吹きは順調か? 病気は? ターフの密度は?回復力は? 夏の乾燥害は? 秋の衰退は? 冬の寒さ凍害は? と毎年の繰り返しで結果を重視しなければなりません。
多くのお客様が来場し、また来ようかという気にさせる事が大切です。そのためにも、いつも状態を把握していなければなりません。
強い芝を造るために必要になる事が更新作業の重大な要素であります。
老化した芝の、新しい芽、茎(ランナー)を出してあげる事
芝が育ちやすい環境(床土の改善)つくり
土をほぐしてやる(やわらかくする)- 根を伸ばす
堆肥や有機肥料で強い回復力のある芝にする
乾燥や害虫にやられない芝にする
水はけの良い病気の出にくい床にしてやる
強いターフにする
等あります。
一番プレーヤーに迷惑のかかる作業は目土入れと、すり込みマット掛けです。
この作業は、日中も実施しますが、約1週間かかるためプレーヤーのご協力と、ご理解が必要になります。
今後とも、よい芝の上で、気持ち良くプレーしてもらうための更新作業ですから、宜しく
お願い申し上げます。
コース管理
グリーンキーパー 大庭 正栄